AVENUE Education大好評企画「医学を志す」を開催しました!

今回は、その開催レポートをお届けします。

 

第5回オンライン「医学を志す」開催!

2022年3月13日に、第5回オンライン「医学を志す」を開催しました。

今回は「救命救急」をテーマに、国際医療福祉大学医学部救急医学講座主任教授・志賀隆先生にご講演いただきました。

100名以上の中高生の皆さんにご参加いただき、盛況のうちに幕を閉じました。

また、講演後のグループワークでは活発に意見交換が行われました。

志賀先生のご講演

志賀先生からは、医師や医学部を目指す中高生に向けて、

  • 志賀先生が医師を志したきっかけ
  • 医学部生時代を振り返って
  • 救急医のやりがい
  • 今後のわたしたちに必要なこと

これらについてお話しいただきました。

 

志賀先生が医師を志したきっかけ

志賀先生が医師を志したのは、高校生の頃だったそうです。

人生に対して漠然と不安を感じていた志賀先生は、ある日高校の非常勤講師の方からある言葉を聞きました。

「例え東大の理系学部に入学しても、研究者になれる人はほんの僅か。多くは理系企業に就職して、昇進するにも限界がある。」

この言葉を聞いて、志賀先生は「理系で社会貢献できる職業を選ぼう」と思い、医師を志したそうです。

 

人生の目的から職業を考える

志賀先生は、医師に限らず人生の目的から職業を考えることが大切であるとお話しされています。

では人生の目的とは、なんでしょうか?

  • お金が欲しい
  • 自由な時間が欲しい
  • さまざまな経験を積みたい

人はそれぞれ、さまざまな目的を持って人生を歩んでいます。

 

人生の目的はいきなり見つかるものではありません。

特に、中学生や高校生、また医学部に入るタイミングでは、よくわからないことの方が多いかもしれません。

しかし実は、自らの人生の目的をよく考えていなかったが故に、医師になった後で苦しむ人もいます。

そのため、中学生や高校生のうちから自らをよく分析し、自らの人生の目的について考えると良いでしょう。

 

医学部での学生時代を振り返って

志賀先生が医学部に入って辛かったことは、試験勉強だったそうです。

大学に入った後も、中学・高校のようにさまざまな試験があります。ただ、中学・高校と大学では大きな違いがありました。

当時は、出題基準や試験の合否基準が透明性・客観性がないことも少なくありませんでした。

今の大学は違うと思いますが、学生だったときは理不尽だと感じることも多くあったそうです。

 

また医学部生時代を振り返ってみて、学生のうちにやっておいた方が良かったと思うことは、スペイン語の習得とプログラミングだそうです。

志賀先生は学生時代から国際的なキャリア形成にも関心を持たれていました。

実際に渡米された際、現地ではヒスパニックの方も多く、「スペイン語ができるとスムーズに意思疎通を図れる」と感じたそうです。

プログラミングは、プログラミングそのものに価値があるだけではありません。

プログラミングを通して、ロジカルシンキングできる力を身につけることが大切だとお話しされていました。

 

救急医のやりがい

志賀先生は現在、救急医としてご活躍されています。

救急医と聞くと、救急車で搬送されてきた患者を処置するイメージが強いかもしれません。しかし実は、救急医の行う業務は多岐にわたります

▶︎救急医だから出来る10の事(日本救急医学会 救急医をめざす君へ)

 

絶対になくなることのない救急医療の現場だからこそ、辛い瞬間ももちろんあります。

例えば、救えるはずの命が救えなかったり、ベストを尽くしても不幸な結果になってしまうこともあります。

また、悪意がなくとも小さなボタンのかけ違いからクレームになってしまったり、若手医師が発信しにくい環境になってしまっていることもあるそうです。

 

辛い瞬間がある一方で、志賀先生は救急医にやりがいを感じた瞬間についてもお話しくださいました。

  • 患者さまから「先生に命を救ってもらった」と心から感謝される
  • 後輩医師の成長に携われる
  • 科学で世界に貢献できる

このように、患者さんや周りの医師から日常的に感謝されたり、世界的な科学の発展に確実に貢献できる職業は多くありません。

 

また、大変やりがいのある救急医療に志賀先生が携わっているのは、社会への貢献です。

救急医療は、医学の原点の一つであり、今後AIが医療の現場で活躍するようになっても必要とされつづける分野です。

ぜひ医師を志す中高生のみなさんには、社会貢献ができ、今後も必要とされ続ける救急医療により興味を持ってほしいです。

 

楽しく生きるカギは「メタ認知」

最後に、志賀先生から中高生に向けて、今後必要になる考え方や能力についてお話しいただきました。

医師になるにしろならないにしろ、誰しも人生を楽しく生きたいと思っています。

そこで必要になるのが、メタ認知です。

 

メタ認知とは、自分を正しく把握する力を指します。

他者が見た自分と、自分が理解している自分が一致しているほど、メタ認知能力は高いと言えます。

そしてメタ認知は高くなるほど学力も上がりやすいと研究結果が出ています。

もちろん学力だけではなく、自らの能力向上も見込めます。

 

では、メタ認知を伸ばすためにはどうすれば良いのでしょうか?それは、内省することです。

ぜひ、メタ認知能力を高め、自らを知り、自らの目的に向かって頑張ってほしいと思います。

 

また日本にはさまざまな問題が存在しています。

コロナ禍で浮き彫りになった日本の社会構造の不健全さをはじめとして、以前から叫ばれていた女性の働きにくさ、またDX化の遅れなども日本が解決すべき問題です。

こういった問題は、無関心でいようと思えば関心を持たずに生きていくことができるかもしれません。

しかし医師として活躍したいと思っている人は、こうした社会問題に関心を持たず自身のことだけを追求するでしょうか?

医師も医療を通じて社会を良くする職業です。

つまり、医師を志す人には、ぜひ社会問題にも関心を向け、その解決のためには何ができるのかを考えてほしいと思います。

 

正直に言えば、お金を稼ぐという目的のために医師を目指すのはあまりおすすめできません。

実際、医師になって富や名声を得ても、不満を感じている医師は存在します。

 

下医は病を医す、中医は人を医す、上医は国を医す」という言葉があるように、ぜひ自らのためだけに医師を目指すのではなく、人のため、社会のためという視野を持って医師の道を進んでほしいと思います。

 

まとめ

今回は、志賀隆先生に救急医についてご講演いただきました。

救急医療の分野は今後も必要とされ続ける分野です。

AIでは代替されないからこそ大変な場面がある分、人のため、社会のために活躍できる分野でもあります。

ぜひ多くの中高生が救急医療に関心を持ち、目指す道の一つとしてくれたらと思います。

 

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