「医学の道を共に歩む」とは?

「医師」と一括りにしてもその歩みの先には多様な未来の広がりがあります。医学部卒業後の進路にはどのような選択肢があるのか、医師同士の対談を通してお伝えする企画です。

対談者紹介

●井上祥先生
(株)メディカルノート代表取締役/横浜市立大学医学部卒
●金城瑞樹先生
AVENUE Education代表/医療法人優雅理事長/横浜市立大学医学部卒
●朝倉太郎先生
AVENUE Education代表/医療法人優雅副理事長/横浜市立大学医学部卒/横浜市立大学医学部臨床准教授
●木下魁先生
横浜市立大学医学部卒/総合診療専攻医

医師のお仕事

① 臨床医
開業医/病院勤務医/大学教授
② 研究医
基礎研究/臨床研究/大学教授
③ 行政
医系技官/国際機関/研究所
④ 起業

 

臨床医とは

金城先生)いろんな年齢で開業される方が多い。また、その理由も様々。最初は、先輩医師について副医院長として5年ほど勤務していました。先輩医師に背中を押されて開業することにしました。開業医のメリットとしては、「自分の理想とする医療」の提供をできること。リスクとしては、都市部だと給与の支払い、家賃など経費が高いが全国一律の診療報酬なので大変でもあります。

病院勤務と開業医の違いは?

朝倉先生)病院勤務と開業医の違いはなんでしょうか?

井上先生)研究が好きな人、教育が好きな人がいるので臨床に加えてどちらかをやる方が多いですね。

金城先生)大学の勤務だと関連病院があるので2,3年ごとに勤務場所が変わりますね。そして、自分の腕を磨いていく。

井上先生)病院って面白い仕組みでときに競合なんですが、協力して「医師」の育成をしていますよね。

研究医とは

朝倉先生)私も大学を卒業した後は、大学院で基礎研究の道を進んで「神経の発展・再生」の研究をしていました。ゼロから新しい発見をしていくというところが非常に興味深かったですね。医学部卒業後の研修をやらずに、研究に進む方もいらっしゃいます。研究で役に立ったなと思うのは、問題発見と問題解決の能力ですね。言語化して患者さんに伝えていく言語化の能力も必要ですね。

木下先生)金子先生は、すごく精力的に研究と臨床をされていましたね。診療の合間に「論文」をよく書いていらっしゃいました。

朝倉先生)これって実は、珍しくないですね。臨床をやりながら研究をされている方は多いです。

金城先生)開業医の方でも、研究をされている方はいらっしゃいますね。私も糖尿病の対策委員会のメンバーでフィールドワークを行って論文を書くことがあります。

朝倉先生)臨床をやっていると、明らかにしたいことが出てくるので研究と臨床を行き来している方が多いですね。

井上先生)起業されている方でも研究をされている方が多いですね。大学と連携して「医療機器」を作ったりですね。データサイエンスの分野では多いイメージです。

行政・起業とは


朝倉先生)行政の分野では、非常に問題意識を強く持ち、仕組みの制度化などで問題解決に臨まれる精力的な方が多いですね。

金城先生)アグレッシブであり、出会いと努力によって道を切り開いている方が多いですね。

朝倉先生)井上先生は、起業されていますがどういった道をたどってこられたんですか?

井上先生)医療情報にアクセスできる人が少ないので、「医療情報の発信」をしたいという思いがあり、手段の一つとして「起業」を選んだという形ですね。松本先生も依存症の分野でシステムをそもそも変えないとけいないという想いで活動されていると思うんですが、私もそちらに近いですね。

金城先生)医学部に入る前に起業というより、医学部で学びながら起業したいと思い、退学される方もいらっしゃいますよね。

井上先生)医学って本当にいろんな分野があるので、他の分野と協働しながら起業にたどり着く方もいますしね。

 

初期研修から専攻医まで

朝倉先生)卒業しただけでは、医師として勤務はできないんですよね。このように、必ず、研修をしないといけないのでどの病院に研修に行くか決める「マッチング」についてお話ししましょう。

木下先生)医学生側の研修に行きたい希望と病院側の受け入れたい医学生の順位をつけて提出し、自動的に組み合わせがされます。6年生でマッチングが行われるんですが、4年生くらいから情報が出始めてみんな情報を集めていきますね。例えば、沖縄の病院では「島医者養成プログラム」など、特徴的なプログラムを組んでいたり、勤務実態など、情報をストックしていってマッチングに備えるという形ですね。

朝倉先生)大学の選択と研修先で就職先も変わりますか?

木下先生)横浜出身で、九州の医学部であれば、こちらに知り合いを作っておかないと戻ってこれないと思いますね。働きたい場所の病院の研修に参加しておくといいと思います。

朝倉先生)狭まる?

木下先生)横のつながりがかなりあるので、専門分野でない先生から「あの分野君に会っているんじゃないか」など紹介してもらえることもあります。

金城先生)就職したいところに研修段階でマッチングが上手くいけば、そのまま就職も可能みたいですね。

朝倉先生)医学部ごとにメリットがあるということですね。そして、情報を収集する必要がありますね。

井上先生)情報は昔より集めやすくなっていますよね?

木下先生)できないことはないんですが、医学部ごとに雰囲気の違いはあって、6年間を一緒に過ごす仲間になるので雰囲気が合わないと大変だとは思いますね。なので、どこでもいいというわけにはいかないと思います。

最後に「地方の取り組みの事例:新潟県」

これからの展望

井上先生)キャリア迷子で常々考えていますね。8年やってきましたが、社会的な課題が色々あります。「ドラッグラス」という問題があり、海外で利用されている薬品が使えないという問題があります。そういった問題を解決していき、海外の最新の医療が日本で提供できるようにしたいというのが一つありますね。また、公的な職も兼任させてもらっているので政策など大きな枠組みでも様々な枠組みで貢献できればと思います。

木下先生)同じく、キャリア迷子ではあるなと思います。総合診療科は、やりがいもありますけど必要性も大きくあるのでその認知と市民権を得るために活動ができればいいですね。

朝倉先生)キャリア迷子とおっしゃいましたが、医師のキャリアは自由度が高くどのような道も自分次第で切り開いていけます。