横浜市立大学のメディカルフェスティバルで、梅村先生にご講演していただきました。

参加者からの質問に答える形で講演して下さりましたのでその内容をダイジェストでお送りします。

〇医師の仕事とは?

医師と一言で言っても、その進路は様々です。例えば、

 

①大学病院で医師として働く

②クリニックで働く

③市中病院で働く

④厚生労働省で医系技官として働く

⑤起業する

⑥企業で産業医として働く

⑦その他(NGO/NPO

 

これらの進路を自分で選べることが特徴です。

また、一度選んだらその道をずっと進むこともできるし、道を変えたり、引き返すことも可能であることが良いところでしょう。

医師の仕事は、外来、病棟、検査・手術、研究、教育と様々な仕事があります。私の強みとしては、診療と研究と教育もできることです。

一つの道を究めることも大事ですが、3つの分野でいろいろとやりながら思うことは、大事なことは共通しているんだなと思いましたね

 

Q医師になるためには、どんな覚悟が必要ですか?

今日の講義を聞いて自分なりに考えてみてください。

ただ一つ言えることは、医学部に入ることがゴールではないし、医師になることもゴールではない。

医師という職を通して何をしたいかが重要だと思います。何をしたいかに優劣はありません。

 

Q医師になりたいと思ったのはいつか?

ある日、親に日能研のクラス分けテストに連れていかれました(笑)漠然と医師になりたいと思い始めたのは、6年生の頃。

友達と下校中に、突然「将来何になりたい?」とか聞かれて思わず、「医師になりたい」といったのがきっかけでした。

 

Q中高生の頃にやっていてよかったことは?

医大生の先輩に聞いてみましょう。

  • 部活を精一杯やっていたこと。
  • 部長を務めたことや学校行事に取り組むこと。
  • 科学に興味があり、本や雑誌などを読んでいたこと。
  • 成績が悪かったので、基礎のフォーステップを一周したこと。
  • フォーステップを10分で一章解けるまでやりこんだこと。

 

私は、やっといてよかったなと思うのは、英語のしゃべる方。練習しないとできないですよね。

例えば、ピアノの楽譜だけ読み込んでも練習できないようにやってみないといけない。トライしないといけない。

なので、スピーキングはやっておいてよかったと思いましたね。

もちろん、書く読むが問題なくできている前提ですよ。

梅村先生の今まで歩みを踏まえて

 

〇藤沢市市民病院での日々

 研修医の一、二年目は、研修医が12人で当直を回すということで、単純に一ヶ月病院に寝泊まりして、生活していました。

働き方改革が叫ばれる今と比べたら、当時は大変な状況でしたがその分同期とのきずなは強く、非常に有意義な経験をしてて成長できたなと思います。

いろんな患者さんがいて、工事現場の下を歩いていたら、ドライバーが落ちてきて頭に刺さったりとか、救急外来はディープな世界ですから、いろんな患者さんがいていろんな経験ができます。

でも、その経験が成長させてくれたなと今では思いますし、皆さんを成長させるきっかけになると思いますよ。

〇大学院博士課程に進学。

理由は、単純で海外に行ってみたかったからです。4年生の大学生は、卒業すると学士、そこから博士もしくは修士のあとに博士という選択肢があります。

医学部は6年間なので、修士はなく、学士から直接博士課程に入れます。

中には、医師免許を持っていない博士もいます。卒業すれば、博士になれるわけではなく、英語で論文を書いてそれが教授や准教授認められてようやく卒業できます。

一言で「博士」といっても、上には上がいるわけで、生涯勉強です。

私の場合は、大学院に3年間在籍していましたが、今は基本的に4年間在籍します。私たち教員(教授)というのは、大学院生の学位論文を指導し、卒業できるようにサポートするのも仕事です。

ただし、指導といっても対等な立場でディスカッションし、磨き合うという方があっていますね。

(ドラゴンボールや聖闘士☆星矢で学生・学士・修士・博士の関係をわかりやすく説明してくれました)

〇済生会横浜南部病院勤務時代

 内科専門医として心臓カテーテルやペースメーカーを中心に急性期疾患の経験を積みました。この時にも、マークシートで試験を受けて、専門医や認定医としての資格を取得します。

カテーテルというのは、細いストローのようなものを腕や足の血管から心臓まで入れて造影剤を入れて検査する器具です。最初は、緊張しますが、1人でカテーテル入れられるようになります。

(実際に当日は持参し、会場の皆さんに見せてくださいました!研修医時代の笑い話もお話ししてくださいました。)

心臓は、握りこぶしくらいの筋肉です。右と左に分かれており、表面に3本の冠状動脈があります。右に一本、左は途中から二本に分かれています。一番まずいのは、左の冠状動脈の分岐する前の根元が詰まってしまうと致死的です。

(その後、心臓超音波検査(エコー検査)や急性心筋梗塞の仕組みを詳しく説明してくださいました。冠動脈造影カテーテル検査の実際の画像、ステント付きバルーンによる治療の仕組みなど、非常に専門的な内容をわかりやすく説明してくださいました。)

昔は、一度患者さんの胸を切り開いて、心臓をめてやっていましたが、今は局所麻酔でカテーテルによる低侵襲のの治療で負担が少なくなりました。これは、ひとえに専門性の高まりによるところが大きいですね。

 

〇ラトガース大学留学

教授に相談していたころ、教授から誘われました。留学する際、お給料は、360万円くらい、中には無給の方もいます。アメリカは、家賃が高いのでほとんどが家賃で消えてしまいます。行く価値はとてもありますし、行きたい人が多くいますね。

Q英語力は必要ですか?

あった方がいいでしょうけど、なくても大丈夫と自らの経験談を踏まえてお話ししてくださいました。

〇研究について

FeSaLen)という薬剤研究のお話です。磁性があり、がんに効く薬のお話をしてくださいました。

副作用を抑えるために、がん周辺に磁石を置いておけば体内の薬がそこに集中し、さらに電子レンジと同じ原理で発熱する性質もあり、がんにはあったかい方が効きやすいというお話でした。

この研究で役立ったことは、科学の知識だそうです。研究では、一つ一つおこる事象の裏付けをしていくことが必要です。

(論文執筆、研究費の申請など研究におけるサイクルと必要な力は、わかりやすく書く国語力、相手に伝えるプレゼン力など、今皆さんがやっている勉強と関連付けて、なぜ必要なのかというところもご説明してくだいました。)

〇教育について

気を付けていることは、教える相手のことを考えていますね。

相手が、医学の知識がある方なのか、ない方なのかで教え方は大きく変わってきます。また、より具体的にイメージを持ってもらうことが大事ですね。そして、重要なことは繰り返すことです。復習をたくさんしています。

他には、アンケートを取って要望などフィードバックを聞かないと改善ができないと思いますね。

Q医師になるうえで必要なことは何でしょうか?

想像力(相手の気持ちを考える)でしょうね。医師は、患者自身そして患者さんの家族に寄り添わないといい治療というのはできないですから。

最後に、受験生の皆さんに名言を三つつほどお伝えしておきたいと思います。

①その夢を叶えるために一番大事なことは、毎日毎日自分自身を管理していくことです。

②いちばんいけないのはじぶんはだめだと思い込むことだよ

③成功の反対は失敗ではなく、やらないことだ

 

今回のご講演では、医師として必要なこと、医師という仕事の多様性を教えて下さりました。

その後は、グループワークを行いました。

テーマは、「良い医師になるにはどうしたらよいか」について討論し、各グループではそもそも良い医師とは何なのか?必要な能力とは何か?身につけるためには何をするのか?などを話し合い、同じ医学部を目指す仲間との交流を行いました。

〇具申会(横浜市立大学医学部同窓会)支援による留学体験記

医学部4年 椎本喜生さん

椎本さんはアメリカのウェイン州立大学、シンシナティ小児病院での海外リサーチクラークシップに参加しました。

リサーチクラークシップとは、

学外(海外含む)の研究機関において、15週間にわたって研究活動に専念し、研究活動について体験してもらい、医学研究者を育成するプログラムです。

ウェイン州立大学では、てんかんの研究室に所属し、脳の機能局在について研究されました。

英語力やプログラミングスキル、医学の知識など必要な力についても言及してくださいました。

横浜市立大学では、留学のための英語力を身につけるPEセンターというものを用意しているそうで、通い詰めてスピーキングを磨いたそうです。

留学では、本当にいろんな人種の方がいるので文化の違い、医学の分野の知識の奥深さを垣間見たそうです。

帰国後は、USMLE(米国の医師国家試験)の勉強やさらなる英語力を身につけるために勉強をされているそうです。

おわりに

医師と一言で言っても、様々な進路があるということがわかりました。参加者の感想を抜粋してお伝えさせていただきます。

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